研究紹介

大気力学分野(全球スケール)

数値モデルを用いた物理現象の理解、将来予測

全球分野では、全球大気の構造と変動メカニズムを解明するため、GCM(General Circulation Model; 大気大循環モデル)やCTM(Chemical Transport Model; 化学輸送モデル)といった、大気の運動を数値的に解くプログラム「数値モデル」を用いて様々な研究を行っています。数値モデルでは、条件を自由に変えて大気状態に関する計算できる所に面白さがあります。実際、数値モデルを用いて何ができるか、以下に例を挙げてみます。

 
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○将来の地球はどうなるの?
      →温室効果気体(CO2など)の濃度を徐々に上げる実験を行って解析
○オゾンは観測が少ない。でもオゾンの詳しい分布が知りたい!
      →観測値、GCM、CTMを組み合わせて推定
○モンスーンに対する海の役割を知りたい
      →海の温度を変えてモンスーンがどう応答するか調査
○高低気圧の活動の物理的性質が知りたい。でも現実は複雑すぎる・・・
      →地形を取り払って全球を海にすればシンプル!(水惑星実験)

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左図:(奥)現実実験、(前)水惑星実験、の水平風ベクトル(500hPa)。

地形・海陸分布・海水面温度などの影響で、現実実験では日本付近のように 高低気圧の活動が活発な場所(〜ジェット気流が強い場所)が存在します。 水惑星実験ではこれらの影響を取り去り、純粋な高低気圧の活動を見ることができるのです。

 
 

大気循環の解析手法の開発

私たちはまた、大気大循環(=地球全体の大規模な大気の流れ)を解析する独自のプログラムを開発しています。このプログラムを用いると、全球的な「熱・角運動量の輸送」「物質の輸送」「エネルギーとその変換」を正確に見積もることができます。こうすることで、「現象の理解(例:オゾンホール、成層圏突然昇温、北極振動)」「年々変動・将来予測の解析」「数値モデルの性能の評価」に役立つと考えています。

 
 

大気力学分野(メソスケール)

概要紹介

メソ分野では、全球分野よりもさらに狭い領域、メソスケールにおける気象を扱っています。メソ 気象とは主に水平スケールが2〜2000kmの現象を指しており、代表的には台風、前線、積雲対流、降 雪などが対象です。また日頃の天気予報もこの分野であり、本講座でも気象庁より貸与された数値モ デルを用いて宮城県の局地気象予報システム(Down-Scaling Simulation System: DS3)を構築し、日々 の予報精度の向上に向けた研究も進めています。

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 また本講座では、2006年8月と2007年6月に仙台空港において、他研究機 関と合同でコヒーレントドップラーライダーによる海風の観測を行いました。 (2007年2月にも観測予定)この観測実験は空港周辺の海風の微細な構造を 観測することと、DS3の計算結果とライダー観測結果を比較することによる 風の立体的な検証と現象の理解が目的です。

 

やませ

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 東北地方の梅雨から初夏にかけて起きる「ヤマセ」に伴う 広範囲の下層雲は、農業などに影響を及ぼすだけではなく、日 射も遮るため、地球の放射収支などにも大きな影響を与えるた めこの現象の詳細を調べることは非常に重要です。しかし、下 層雲の個々の雲のスケールは数百m程度と小さいためその形 成・変質過程を調べるには観測による調査と高解像度のモデル によるシミュレーションを用いた分析が必要となります。 図6は2003年ヤマセ時の鉛直積算雲水量(任意の地点の直上 にどれ位水分があるか)。モデルでは細かい構造が出ておらず量 的にも多めに計算されています。

 
 

生態系モデル(陸域炭素循環)

陸上の植物と土壌中の微生物は光合成や呼吸などを通して大気中とCO2の交換を行っています。温暖化などに伴う気候変動に対して陸域の炭素収支のバランスがどう変化するかを知ることは重要です。植物や土壌微生物の活動をモデル化して数値シミュレーションを行い陸域炭素循環の変化を予測することは温暖化予測の重要な一分野です。 私たちの研究室では生態系モデルBEAMSを用いて過去から将来まで(1850~2100年)をターゲットに全球規模で陸域のCO2の吸収量を推定・予測しています。陸域の複雑なプロセスを含むため課題の多い分野ですが、永久凍土や土地利用、窒素循環の影響を組み込むためのモデル開発や様々な気象データを用いた多角的な解析などをテーマに研究しています。

 
 

ダウンスケーリング

近年は、減災にむけたメソ現象の予測精度の向上、温暖化予測ではグローバルな気候変化から地域の気候変化、また、幅広い産業利用にむけた詳細な気象情報の作成へと社会の関心が移っており、ダウンスケーリングはそれらに応えられる技術を目指しています。 本研究室では、現実地形や局地循環を正しく表現できる高解像度モデルとして気象庁非静力学モデルなどを利用し、災害をもたらすような台風や集中豪雨、大雪、雨氷現象などの物理過程の解明に取り組んでいます。

 
 

寒気の形成、移動、消滅

冬季において極域に蓄えられた寒気は、断続的に低緯度の地域に流れ出します。 寒気が達した地域では、厳しい寒さや、大雪に襲われることがしばしばあり、私たちの生活にも大きくかかわります。 私たちは、寒気の流れを定量的に表現することができる解析手法を開発しました。 この手法で、寒気がどこでできて、どのように移動し、どこで消えるのかを明らかにすることができます。 例として、北半球において、寒気の流出する2つの主要な経路を発見しました

 
 

局地気象

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研究室では気象庁非静力学モデルJMA-NHMを利用して高解像度シミュレーションを行い、局地気象の物理過程の解明に取り組んでいます。集中豪雨、沿岸前線、南岸低気圧に伴う降雪などを再現するには、地形データや鉛直対流を正しく表現する必要があり、水平解像度5km以下の高解像度モデルが必要になります。本研究室は高性能計算機を用いることにより、局地気象をシミュレーションで再現しています。 また、モデル中の設定(地形、拡散係数、地表面粗度など)を変更することによって、局地気象がどのようなパラメーターに依存するか調べる実験も行っています。

 
 
 
 
 
 
 

陸面過程

本研究室では陸面過程を対象とした研究にも取り組んでいます。地表面状態(植生や雪など)は大気状態の影響を受けて変化する一方,地表面もまた大気と水・熱・炭素の相互作用により気候形成に重要な役割を果たします。 私たちは,主に陸面過程モデルなどを使用し,葉の濡れやすさを予測し農作物の病害危険度予測をおこなったり,シベリア域の陸面過程を解析したりするなど各自得意とするところに重心を置き研究を行っています。これらの研究を行う上で,植生は大切な要素となっています。

 
 
 

雪氷

雪氷は気圏においては降雪や氷霧、水圏では海氷や氷山、岩圏では凍土や氷河など、環境や条件によって様々な姿や振る舞いを示し、私たちの生活に大きな影響を及ぼしています。 そういった様々な雪氷現象に対して、私たちは数値シミュレーションモデルを用いた大雪や着氷性雨といった大気場の状態に深く関わる現象の事例解析や、凍土や積雪水資源といった岩圏に存在する雪氷の将来的な変動の予測といった研究に取り組んでいます。

 
 
 

水循環

地球温暖化が進むことで、降水や降雪、地表水の蒸発量などが変化し、水循環に影響を及ぼすと考えられています。それにより豪雨や台風などの災害や、積雪量や河川の流出量など水資源として私たちの生活に大きくかかわってきます。研究室では、水資源としての積雪とそれにかかわる気象要素の将来予測に関する研究を行っています。また、ダムの流入量や流域流出量の評価、ボリビアにおいて重要な水資源である氷河の将来予測に関する研究などに取り組んできました。

 
 
 

大気境界層

大気境界層とは、地表面からおよそ1〜2kmの高度の範囲を指し、
この身近な領域での現象や地表面の状態変化は、直接私たちの生活に影響する可能性があります。

地表面状態(植生や雪など)は大気状態の影響を受けて変化する一方、
地表面は大気と水・熱・炭素の相互作用により、気候形成に重要な役割を果たします。
また、局所的な気象には、各地域の山岳や盆地などの地形が強く影響します。

このように陸面過程や大気境界層をより深く理解することは大切であるため、
我々は気象学、雪氷学、水文学、森林生態学、農業気象学の研究者と共同で研究を行っています。

数値シミュレーション

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図は数値シミュレーションの一例で、夜間に東京御園から冷気流が発生し、 重力流として建物群の密在する都市域に流出する様子が示されています。 (黄色は都市群、青色は冷気)。

 
 

大気力学分野・各研究へのリンク

大気力学分野・各研究について

(更新途中:070713)


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Last-modified: 2018-12-06 (Thu) 21:09:29 (140d)