このサイト (Cold-Air Damming データ・ベース) について
提供データについて
本データベースでは、1980年から2019年までの40年間で発生したCAD全事例のうち2001年7月以降のものを公開しています。本データベースで公開しているCAD事例は、Ohara and Yamazaki (2024)において取り出されたものです。事例抽出方法の詳細はOhara and Yamazaki (2024)をご確認ください。Ohara and Yamazaki (2024)では、CAD事例の客観的な抽出を行ったBailey et al. (2003)で用いられた”海面気圧のラプラシアン”と呼ばれる量に基づく事例抽出を行いました。海面気圧のラプラシアンは、銚子・前橋・高田の海面気圧[hPa]の1時間毎の観測データを用いて以下の式で計算しています。
は2点間の距離[km]です。 は銚子-前橋-高田を結ぶ測線上での海面気圧の曲がり具合の情報を与えてくれます。CADでは高圧部が南に張り出すU字構造が特徴として知られており、そのような構造を反映してCAD発生時には の値が負の方向に大きくなります。実際にCAD事例の抽出を行う際には追加的な条件も必要ですが、CADに伴うリッジ構造を検出する指標として海面気圧のラプラシアンは用いられています。
直近48時間分の海面気圧のラプラシアンはこちらから確認いただけます。ただし、公開している海面気圧のラプラシアンのデータのみからCADの有無を確定できるものではない点にご留意ください。
各事例について、従来型観測を用いた日本域長期領域再解析(RRJ-Conv; Fukui et al., 2024)の解析値データから作成した天気図と地上風・下層温位の分布図を公開しています。これらの画像の作成にはGrADS (Grid Analysis and Display System)を使用しています。
Ohara and Yamazaki (2024)では、関東地方の各地点における降水事例の抽出も行っています。本データベースのCAD事例集では、24時間100 mm以上の降水を伴ったCAD事例を”大雨を伴うCAD事例”として雨雲の絵文字
を表示しています。 CADに伴う降水事例の定義や、各CADに伴う24時間降水量の定義の詳細は元論文をご確認ください。利用規約
本データベースに収録されているすべての情報(以下「本データ等」といいます)の利用に当たっては、本データの作成に関与した研究者(以下、「情報提供者」といいます)が指定する利用規約および以下のライセンス表示に同意したものとみなします。
本データを科学論文等の出版物やプロダクト作成に利用する場合には、以下の論文を引用し、本データの出所を明示してください。
Ohara, R., and T. Yamazaki, 2024: Relationship between cold-air damming and heavy precipitation in the Kanto region, SOLA, 20, 264-272.
本データは、営利目的で利用することができません。
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また、情報提供者は本データ等からアクセス可能な、第三者が権利を有する情報の正確性、信頼性、安全性を何ら保証するものではなく、第三者が権利を有する情報の利用により生じたいかなる損害に関しても、情報提供者は一切の責任を負うものではありません。
なお、本データデースは、予告なく追加、変更、削除される場合がありますので、予めご了承ください。
小原 涼太
2024年11月18日
謝辞
本研究はJSPS科研費JP23KJ0136およびJST共創の場形成支援プログラムJPMJPF2013の支援を受けたものです。天気図等の作成に使用した「従来型観測を用いた日本域長期領域再解析(RRJ-Conv)」は、東北大学と気象庁気象研究所の共同研究によるプロダクトです。CAD事例の抽出や降水量の算出には気象庁の気象官署および地域気象観測システムの1時間毎の観測データを使用しました。最後に、本サイトの作成依頼を快く引き受けてくださった加藤成晃さんに深く感謝申し上げます。
References
- Bailey, C. M., G. Hartfield, G. M. Lackmann, K. Keeter, and S. Sharp, 2003: An objective climatology, classification scheme, and assessment of sensible weather impacts for Appalachian cold-air damming. Wea. Forecasting, 18, 641-661.
- Fukui, S., T. Iwasaki, K. Saito, H. Seko, and M. Kunii, 2018: A feasibility study on the high-resolution regional reanalysis over Japan assimilating only conventional observations as an alternative to the dynamical downscaling. J. Meteor. Soc. Japan, 96, 565-585.
- Fukui, S., E. Shirakawa, D. Soga, R. Ohara, K. Usui, K. Takiguchi, K. Ono, T. Hirose, S. Matsushima, J. Ito, T. Yamazaki, K. Saito, H. Seko, and T. Iwasaki, 2024: Long-term regional reanalysis for Japan with assimilating conventional observations (RRJ-Conv). J. Meteor. Soc. Japan, 102, 677-696.
- Ohara, R., and T. Yamazaki, 2024: Relationship between cold-air damming and heavy precipitation in the Kanto region. SOLA, 20, 264-272.