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大気力学分野

大気力学分野では大気の運動を数値的に解くプログラム「数値モデル」を用いて様々な研究を行っています。GCM(General Circulation Model)を用いて全球大気の構造と変動を解明したり、NHM(Non-Hydrostatic Model)を用いて水平スケールが2~2000kmの狭い領域のメソスケールの現象(台風、前線、積雲対流、降雪、etc…)を詳しく解析しています。
以下では研究内容の例をいくつか紹介します。

図1 寒気流出の様子
  • 寒気流出(極域~中緯度帯+熱帯地域)
    特定温位座標を用いた独自の寒気解析手法を用いることで寒気の量や流れを定量的に分析。
    寒気が極域から東アジア、北アメリカに流出していることがわかり、中緯度地域での寒波、豪雪や熱帯地域で対流を引き起こし降水を発生させることが予想される(図1)。
図2 中緯度の直接循環
  • 大気大循環(地球全体)
    MIM(温位面での質量重みづけ帯状平均)という独自開発プログラムにより大気大循環の正確な表現を可能に。「熱・角運動量の輸送」、「エネルギーとその変換」、『物質輸送(オゾン、CO2)」を正確に評価できるため、気候変動の理解や数値モデルの性能評価を行うことができる(図2)。

図4 水蒸気の流れ
図3 線状降水帯の再現
  • 豪雨・線状降水帯
    日本で豪雨をもたらした事例をNHMなどの数値シミュレーションを用いて高解像で再現を行っています。当時の日本周辺における水蒸気や風の流れなどを再現することで豪雨をもたらす大気の構造やメカニズムについて解明を行う。画像はNHMを用いた平成27年9月の関東・東北豪雨の再現(図3,4)。

気象学分野

気象学分野では主に陸面過程を対象とした研究に取り組んでいます。地表面状態は大気の状態の影響を受けて変化する一方、地表面もまた大気と水・熱・炭素の相互作用により気候形成に重要な役割を果たします。私たちは主に陸面過程モデルなどを使用することで、農作物の病害危険度予測や、寒冷地の積雪、土壌水分について解析を行っています。

  • 陸面過程モデル2LM
    植生サブモデル、積雪サブモデル、土壌サブモデルによって構成された陸面過程モデル2LMを用いることで雪崩の発生予測や森林での蒸散作用について予測を行うことが可能となる。
図5 植生サブモデル
図6 積雪サブモデル